「第75回 自動車技術会賞」の受賞者が4月25日に発表され,本学機械電気工学科教員の髙木及び九州工業大学・野田尚昭名誉教授(代表著者),大分大学・小田和広教授,鈴木接着技術研究所・鈴木靖昭所長連著の論文,「引張接着強さの接着部の幾何形状寸法依存性について(特異応力場の強さISSFに基づく考察)」(自動車技術会論文集第55巻1号(2024年1月)掲載)が論文賞を受賞しました.
自動車技術会賞は,「自動車工学及び自動車技術の向上発展を奨励すること」を目的として1951年に創設されました.創設以来,自動車技術分野及び自動車技術会を代表する賞として常に注目を集め,受賞者の功績が非常に高く評価される賞です.
本論文は「自動車の安全性と軽量化のキーとなるマルチマテリアル化において,接着接合はますます重要となっている.接着強度はJIS規格では,小型試験片の接着面積あたりの平均応力で表されるが,それは接着端部の応力集中を無視した初等材料力学の立場に相当する.実際には実構造の特異応力場の強さISSFは,接着部の幾何形状・寸法に依存して変化する.よって,実構造の強度もISSFに依存して変化する.本論文は,このような平均的接着強度の変化をISSF解析結果から明らかにした.特に,接着層厚さを,JISで規定される小型試験片と実構造で揃えることで,JIS規格の結果が実製品の引張接着強度とみなせることを示した.本論文は接着試験片で実構造の接着強さが評価できるか?という工学的・技術的な問いに,統一理解を示す独創性のある考察がなされた点で,高く評価され」,本賞の受賞に至りました.
機械電気工学科 髙木