Topics2017/10/27

【若林研究室】卒業研究の紹介~「電磁鋼板の低鉄損化技術の効果検証に関する研究」担当:塩崎君~

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若林研究室に所属する卒業研究生(4年生)の研究テーマや研究活動についてご紹介します。

4月の研究室配属以降、若林研究室では、一人につき1つの研究テーマで研究活動を行っています。学生自身が責任感を持って活動を行わない限り研究成果を得ることがでないためとても大変だと思いますが、目標を成し遂げられたときの達成感や研究活動を通じてのみ得られる技術・知識も大きいと思います。一つの活躍の場として、9月末に開催された国内学会でも発表を行い、実績を残しています。それが学生自身のモチベーションや自信にも繋がっています。



■■研究テーマ■■
「リング形状方向性電磁鋼板を用いたベクトル磁気特性制御効果に関する研究」

■■研究担当者(所属)■■
「塩崎 克樹」(本学工学部機械電気工学科電気電子コース)

■■研究テーマ概要■■
省エネルギー社会の実現のため電気機器の一つである変圧器の低損失化を目標に研究を行っています。具体的には、変圧器内部にある鉄心に使用されている「方向性電磁鋼板の低鉄損化」です。電磁鋼板とは電気エネルギーと磁気エネルギーの交換を効率よく行わせる機能性材料で、鉄にケイ素を添加させた物が主流で、変圧器鉄心用に方向性電磁鋼板が、モーター鉄心用に無方向性電磁鋼板が使用されています。

変圧器鉄心の一部では、時間的に方向が変化する回転磁束の発生により鉄損が増加することが知られています。そこで若林研究室では、そのような回転磁束などで発生する鉄損を低減するために「ベクトル磁気特性制御技術」を開発し、その効果について検証してきました。ベクトル磁気特性とは、本学特任教授である榎園正人教授が提唱している磁気特性測定法に関する新しい概念です。

本研究テーマでは、様々な磁束が同時に発生するリング形状の方向性電磁鋼板を対象に、ベクトル磁気特性制御技術を適用させた場合の鉄損特性を明らかにすることを目的としています。

現状の成果としては、リング形状の方向性電磁鋼板の一部に本技術を適用した場合、鉄心全体の鉄損値が低減することを実測から明らかにしました。また、コイル巻き直しによる影響やセンサー設置箇所の検討も含め、詳細な結果を蓄積しています。今後、本技術の適用範囲を拡大し、更なる鉄損低減について検討を行い、本技術の鉄損低減効果の有効性を示していく予定です。

9月末の沖縄での国内学会にて、本研究テーマの成果を塩崎君自身で発表を行いました。
また、11月末の韓国・済州島での電気学会マグネティックス研究会にて、本研究テーマの成果を塩崎君自身で発表を行う予定です(PDFファイルをご確認ください)。

■■塩崎君のコメント■■
①学会発表を経験して、気がついたことや良かったこと。
『私自身、身をもって学会で発表を行うという体験をしたことで、これまでよく分からなかった学会という場やその重要性が理解できたことです。』
②今後の抱負
『研究テーマをより深く理解し、私自身が満足できる研究成果を出せるよう研究を更に進めていきたい。』


卒業まで残り半年ですが、この調子で研究を行い、卒業しても恥ずかしくなく、後輩に繋がる卒業論文を書いてもらいたいと思います。


★機械電気工学科 助教 若林大輔☆